戻って来た叶に抱き上げられ、またバスルームに直行すると、やっと目隠しも外されて全部を優しく洗われた。

「いい子だったね、・・・リツ」

 口止めもなにもしない。ただ。そう言って。
 後から入ってきた樹も。

「ま、上出来だろ」

 なぜか不敵そうに。

「ちゃんと俺を信じたからな、ホメてやる」







 
 ベッドでも代わる代わる愛されながら、融け堕ちそうな意識の中。叶の愛おしげな囁きを聴いた。

「・・・リツは誰にもあげないよ。躊躇わない。僕から奪うなら・・・」

 


 ひとつ解った。・・・気がする。
 あたしは贄ではなく、蜜。
 
 甘い薫りで獲物を引き寄せ、ほんの少しだけ。舐めさせて分け与えればいいのだ。
 
 その間に叶が、必ず消してくれる。
 
 〝跡形も無く〟 
 すべてを。