「そういう我がままは、聴かない」

 叶は仄かに笑うと、スルリと膝丈スカートをたくし上げる。
 
「口よりこっちの方が正直なんだから」

「あ・・・」

 あたしは叶にすがりつくような恰好で。
 もう。脳は羞恥なんてコトバを認識しない。
 彼の指をねだって、本能のままに。
 
「ここがいいってちゃんと教えて、リツ」

 わざとそこには触れてくれない意地悪。 

「・・・あ、んっ、かな、え・・・」

「気持ち良くして欲しい?」

「・・・して・・・」

「じゃあ次は、もっと素直にならないとね」
 
 立っていられなくて、叶があたしの腰に腕を回し支えてる。

「や、・・・あ」

 勝手に口から迸る絶え間ない声は、すすり泣く悲鳴のように。
 と、次の瞬間。
 崩れ落ちそうになったあたしの躰をしっかりと抱きとめ、乱れた髪を撫で付けながら叶はひどく満足そうに言う。

「リツの啼き声を昼も夜も聴けるなんて、ちょっと贅沢すぎるかな」





 お客様各位。
 ・・・表の扉に〝ただいま留守にしています〟のプレートが掛かってる際は、決して聞き耳など立てられませんように。
 邪魔をするものは消されてしまいます。
 永遠に、この世から。

 人形堂より。