やっぱり、土曜日に谷田部課長と会ったときの私の態度、かなり変だったんだろうか? さすがに、美加ちゃんも何か気が付いたのかも。

「あ、あはは……。実は、そうなんだよねー。ほら。谷田部課長はとってもいい人なんだけど、やっぱり上司だし、四六時中くっついて行動するってのは、これが思ったよりも、かなりストレスなのよー。早く課長補佐の肩書きが外れてくれないと、胃に穴があきそうなんだわ。参った、参ったよー」

 って、やだ私。何、弾丸トークしてるのよ。

 これじゃ、ますます勘ぐられちゃうじゃない。

「梓センパイ……。実はあたし、谷田部課長の歓迎会の時、トイレでセンパイと課長の会話、聞いちゃったんですよ」

 ええっ!?

「あたし、いいと思いますよ。相手に家庭があったって」

「み、美加ちゃん?」

「だって、人を好きになるのに、そんなこといちいちチェックして好きになる訳じゃないですもん。たまたま好きになった人に、家庭があった。ただそれだけですよ」

 そう言って、美加ちゃんは少しだけ遠い眼差しを私に向けた。

 もしかしたら美加ちゃんも、『そういう恋愛』をしたことがあるのかもしれない。

 なんて思っていたら、美加ちゃんは突然私の両腕を『ガッチリ』握りしめて、ぐいっとバッチリメイクのつぶらな瞳を近付けて来た。

「梓センパイっ!」

「は、はいっ!」

「あたし、いつだってセンパイの味方ですからっ! ファイトですよ、ファイトっ!」

「う、うん……」