カラカラと陽気な笑いが頭上から降ってきて、私のコメカミにピキリと青筋が浮く。
「榊……先輩っ、私をからかって遊んでますよね?」
「うん」
うんって、そんな楽しそうに言わないでよ。
なんだか、それでも良いかって気になっちゃうじゃない。
「ほら、次行くぞ」
頬を膨らましてそっぽを向く私の手に、さりげなく大きな手のひらが重なり、そのまま次の展示ゾーンへと引っ張られていく。
伝わる手のぬくもりでドキドキと鼓動が早まり、頬が熱を帯びる。
そのことを悟られまいと私はけんめいに話を振った。
「せ、先輩って、子供のころ女の子に意地悪した口でしょう?」
「さあて、どうだったかな? 気になる子には、ちょっかいをかける 質たちではあったかな」
やっぱり、そうだと思った。
「あ、呼び方だけど、その先輩ってのは、ナシな」
「そんなこと言われても、先輩は先輩ですから」
「んじゃ、東悟で。俺は梓って呼ぶから。OK? さあ、はいどうぞ」
私の言うこと聞いてないよ、この人。