前もって予約を入れてくれていたようで、すぐに営業スマイル全開で飛んできたウエイトレスさんに案内されて、私たちは二階部分の最奥、窓際の席に陣取った。

  他の席はほとんど埋まっているから、けっこう有名な人気店なのかもしれない。

 ほどなく、例の蒸気機関車が『シュッシュッポッポー』と言う絵にかいたような音を響かせながら、バーベキューの材料を運んできて、先輩と二人だけの初・ランチタイムが始まった。

 最初こそ向かい合って食事をすることに慣れなくてぎこちなかったけれど、どうもバーベキューという食事スタイルは緊張をほぐしてくれる効果があるらしく、いつの間にか体の力も抜けて楽しいひと時が流れていった。

 もしかしたら先輩は、その辺も考えてこの店を選んでくれたのかもしれない。

 ふと、そう思った。

 料金は割り勘でとお願いしたけど、『せめてこのくらいは良い格好をさせてくれよ』と笑顔で断られて、恐縮しつつもその言葉に甘えさせてもらった。

 でも、『次にかかる料金は、自分が払おう!』と心密かに決意するのは忘れない。

「味はどうだった?」

 車に戻ってすぐにそう問われ、反射的に「とっても美味しかったです!」と、素直な言葉が口を飛び出した。

「それは良かった」

 本当に、美味しかった。

 地元の黒和牛の高級肉は少し炙っただけで舌の上でとろけるほど柔らかく、朝取りの地元新鮮野菜は、どれも甘くて絶品。

 でも、一番のご馳走はたぶん――。