世の中には似た顔が三つ在ると言うけど。まさか、ここまで似ている人間に会うなんて、信じられない。
恒例の、会議室での朝礼の席。
いつもなら、社長の長男である専務が人事の発表をする。でも今日は、社長直々の紹介と異例の事だった。
私は、ニコニコ笑顔で新任の工務課・課長の紹介をする恰幅の良い社長の傍らに立つ、谷田部東悟を、食い入るように見詰めた。
身長は百八十センチというところだろうか?
かなり上背がある。
ダークグレーのスーツに包んだ細身の体躯は、無駄な贅肉とは縁がなさそうだ。でも、ガリガリとしたひ弱な印象は受けない。何か、スポーツで鍛えているような、シャープな印象を受ける。
少し癖のある、強そうな黒髪。
彫りの深い顔立ち。
きりりとした眉の下の瞳は綺麗な二重で、少し鋭さを感じさせる。
通った鼻筋の下の、厚すぎない唇。
スマホの写真では『似ている』と思ったけど、実物はその比じゃない。実物は、似すぎている。
そして、何より驚いたのは、その声だ。