五月の空って、こんなに青かったっけ?

 つい最近桜が咲いたと思ったら、もう綺麗に葉桜に衣替え済みだ。

 木々は鮮やかな緑の衣を纏って、すでに夏に備えている。心地よい風に吹かれながら、私はボンヤリとその景色に視線を巡らせた。

「うふふ。たまには、こういうのも良いでしょう、センパイ!」

「本当、二日酔いの頭には、ちょうどいいわね」

「でしょ、でしょ?」

 美加ちゃんからの電話は、ピクニックのお誘いだった。

 県内にある大きな自然公園は、土曜日ということもあって家族連れやカップルで賑わっていた。

 私たちが陣取っているのは、公園の高台にあるいわゆる『ランチ・スポット』の一角で、丸太作りのテーブルとベンチには、日よけの白いパラソルが付いていて、爽やかな風にはためいている。

 テーブルの上には、所狭しと並べられている、美加ちゃんお手製のお弁当。

 二日酔いで、イマイチ食欲のない私でも、『美味しそう』と思える腕前だ。