「あ……れ?」

 パチリと目を開けた瞬間、自分が何処にいるのか分からなかった私は、ベッドに横たわったまま、ゆっくりと視線を巡らせた。

 まだ覚醒しきらず、おまけに裸眼でかなりピンぼけ加減の視線の先には、見覚えのある白いクロス張りの天井とアイボリーの小花柄の壁紙。

 イエロートーンのカーテンの隙間からは、もう既に朝日と呼ぶには強すぎる日の光が差し込んでいる。

 自分のアパートの、寝室……よね?

「あれっ!?」

 ちょっと、まって!?

 慌ててベッドから身を起こして、こめかみに走る鈍痛に思わず呻く。

「痛っ……」

 どかんどかんと、ゾウさんが脳内で下手くそなラインダンスを踊っている。

「うう、気持ち悪っ……」

 完璧に二日酔いだ。胃もムカムカする。

 でも、それはいい。

 自分の部屋で寝ているのも、自分の部屋なんだから別に問題はない。

 だけど、なんでベッドで、それもご丁寧にパジャマを着て眠っているんだ、私は!?

 着替えたおぼえなんて、まったくない。

 そもそも、アパートに戻ってきた記憶そのものが欠落している。

 ど、どうしたんだっけ!?