「二つ目は、結果的に、あなたをここまで危険にさらしてしまったこと。これは、完璧に僕の読みの甘さが招いたことです。本当に、申し訳ない」
そう言って深々と頭を下げる風間さんの姿に、私は慌てた。
「あ、そんな、私の考えが甘かったんです。我ながら、よくもまあ、あんな無謀なことをしたなぁって」
――穴があったら入りたいくらいです。はい。
「私こそ、ご迷惑をおかけして、すみません」
私も、ベットの上で深々と頭を下げる。
その数秒後、私と風間さんが同時に顔を上げたところで、地を這うような課長の低い声が飛んできた。
「――で、用件は、もうすんだな、風間?」
まだご立腹継続中らしい課長に、風間さんは、困ったように頭を掻きながらうなずく。
「ええ。でも、最後に一つ、君に言いたいことが」
「なんだ?」
「君が、何に対して怒っているのか分かっているつもりですが、その辺も含めて、彼女に話してみてはどうですか?」
「……何が言いたい?」
「君は、昔っから肝心な時に言葉が足りない、と言いたいんです」
「だから、なんだ? もってまわった言い方をしないで、分かるように言ってくれ」
「――谷田部凌は、君の過去と今までの経緯、そして現在置かれている立場をほぼ正確に暴露しました。七年前の結婚に関すること以外は全部ね」
「……」