――懐かしい、夢を見た。

 薄闇の中、目を開けると、東悟がいた。

 焦がれて、焦がれて。

 心が壊れるんじゃないかと思うほど、恋焦がれて。

 それでも。

 会うことが叶わなかった、愛おしい人が、目の前にいた――。

 でも、何だか違う。

 私が知っている東悟とは、何かが違う。

 急に不安に駆られて、私は両手を伸ばした。

「東……悟?」

 何が、違うんだろう?

 ああ。髪だ。前髪が、違う。

 私は、伸ばした両の手で、セットしてある東悟の前髪を『くしゃくしゃ』っとかき回した。

 額に、バラバラと前髪が落ちかかり、私の知っている東悟が顔を出す。

 ああ。

「東悟だぁ」

 会いたかった。

 ずうっと、会いたかった。

 その真っ直ぐな瞳で、見詰めて欲しかった。

 優しい声で、名前を呼んで欲しかった。

 温かい大きな手で、抱きしめて欲しかった。

 やっと、会えた。なのに。

 なぜ、そんな顔をするの?