「むしろ、よくぞ撮ったものだと感心しちゃって。プロってすごいですねー。仕事にかける情熱を見習わなきゃですね」

 あはははとどうにか笑みを作り、手に握りしめていた写真のしわを伸ばして、テーブルに置いてあった写真に混ぜてはいと手渡せば、課長は少しだけホッとしたように口元を緩めた。

「写真を撮らせた相手もはっきりしてるし、その目的もある程度わかっているから、この件で、君に直接アプローチがあることはまずないとは思うが、念のために言っておく」

「はい?」

「もし、この写真に関連して、なんらかの接触があったら、すぐ、俺に教えてくれ」

「なんらかの接触……ですか」

『あんたの恥ずかしい写真を持っている』

 とか脅されちゃったら、それは、かなり嫌かも。

 でも、もしも本当に接触して来たら、それはそれでどんな了見なのか問い詰めてみたい気もする。

 盗撮だしプライバシーの侵害だし、犯罪スレスレ、っていうか立派に犯罪だし。

 うー、なんだか、怖いのを通り越してむかっ腹がたってきた。

 もちろん気がするだけで、実際はそんな無謀なことはしないけど。

……たぶん。

「わかりました」

 にっこりうなずくと、課長は、私の心の声を聞いたかのように疑惑の眼を向けてきた。