うっ……?

「えええっ !?」

 なんだ、これっーーーー!?

 一枚目。

 写真を目にした瞬間、私は驚きのあまり、写真をつかんだまますっとんきょうな声を上げてしまった。

 夜のとばりに包まれた見覚えのあるその場所は、私が住んでいるアパートの前だ。

 写っているのは、タクシーから降りる男女の姿。意識のない女性を、上背のある男性がいわゆるところの『姫だっこ』をしている。

 言うまでもなく、意識のない女性は私で男性は課長。

 薄暗い場所で望遠レンズを使って撮られているのだろう、まさに、『ザ・盗撮』。

 そんな感じの少し粗い画像は、まるで芸能人をスクープするゴシップ雑誌の記事の切り抜きのようだ。

「あの、これって、課長の歓迎会の時の……ですよね?」

 動揺が隠し切れず、尋ねる声が、変なふうに掠れてしまう。

「そう、みたいだな」

 答える課長は、苦笑を浮かべている。

 あの時はかなりお酒がまわっていたから、あまり確かな記憶はないけど、場所や刻印されている時間から考えたら、歓迎会の時に撮られたものに間違いないだろう。

 真実を言えば、課長は酔っ払って正体をなくした私を送ってくれたに過ぎない。

 でも、そんな事情を知らない他人がこの写真を見たら、たぶん十中八九、この後のイケナイ展開を想像してしまうんじゃないだろうか?

 この写真を撮った人が『そう見えるように撮っている』。

 なんとなく、そんな悪意みたいなものを感じてしまうのは、私の思い過ごし?

 写真は、まだまだある。

 私は、一枚目をテーブルの上に置くと、二枚目の写真に視線を落とした。