――だって、拒絶されたときに、どれだけ自分がダメージを受けるか、知っているから。

 知りたいと思いながらも、知りたいという思いを否定されるのが怖い。

 我ながら、弱腰もいいところだとは思うけど。

「……」

 なんて言えばいいのか分からず答えを口にするのをためらっていると、課長は気だるげに、一つ小さな溜息をついた後、

「ちょっと、ここに座って」

 と、自分の座る左隣のソファーの上をトントンとたたいて、私に座るように促した。

 言われるまま課長の隣にちょこんと腰を下ろし、おずおずとその横顔を仰ぎ見る。

 わずかに口の端を上げた課長は、困ったように肩をすくめた。

「報告書の方は、君には関係ないことなんだが……」

 すっと目の前に差し出されたのは、『例の写真』、――というより、写真の束だ。

「あの……?」

 み、見ていいんだろうか?

「こっちの方は、一応君も、当事者だから」

「当……事者?」
 
不穏なワードに、眉根にしわが寄ってしまう。

「そう、当事者」

 頷く課長の顔を、まじまじと見つめた。冗談を言っているようには見えない。

 ……ってことは、もしかして。

「あまり、気分のいいものじゃないだろうが、見てくれるか?」

 ごくり――。

 嫌な予感を飲み下し、私は、受け取った写真に視線を落とした。