人間の想像力というものには、限界がある。
しょせん、自分が見聞きした情報をもとに『こんなかんじだろう』と予想をするに過ぎないのだから、おのずと限界があるのだと思う。
目の前に広がるのは、私の想像を遥かに越えた、ひたすら広くてゴージャス&リッチな居住空間だった。
東側全面に取られた開口部には、品のいいライトベージュのカーテンに覆われたオーダーメイド・サイズの大きなはき出し窓。
カーテンの隙間から覗くのは、私の部屋よりも遥かに広いベランダスペース。
階下には、どこかのんびりとした市街地の昼下がりの風景が、ゆったりと広がっている。
オフホワイトのおしゃれなガーデンテーブルセットでは、余裕でバーベキューパーティーが開けそうだし、夏の夜に夜景を眺めながらキーンと冷えたビールなんて飲んだら最高だろう。
部屋の中に視線を巡らせればまず目にとまるのは、ライト・オークの重厚な家具類。けっして華美ではないけれど、上品で機能的なその設えには、思わず『よっ、職人技!』と賞賛を贈りたくなる。
部屋の中央に配された、応接セット。
壁際にずらりと配されたリビングボード。
リビングボードの中央には、何インチなのだろう?
家のテレビとは、象とアリくらいにサイズの差を感じてしまう、巨大なテレビモニターが、どんと鎮座している。どれをとっても、溜息が出そうなくらいに、ゴージャス&リッチ。
でも、生活感がなくて、なんだか――。