私と一緒に眠りこけていたはずの課長が、なぜそんなことを知っているのだろう。

 え……まさか、課長だけ先に起きていて、美加ちゃんと話しをしたの?

『あの』格好で!?

 自分がどんな状態で眠っていたのか思い出し、それを目にしただろう美加ちゃんがどんな表情をうかべたのか手に取るようにわかってしまった私は、げげっと、笑顔が引きつった。

 か、課長、起こしてくださいよ-。

 いや、起こしてもらっても、恥ずかしいことには変わりがないんだけど。

「――と、これに書いてある」

「え……?」

 はい、と手渡された十センチ四方の小さな紙片に視線を走らせながら、課長に向かい合う形で膝をおる。

 見覚えのある丸みを帯びた可愛らしい文字は、美加ちゃんの筆跡だ。

『梓センパイ、昨夜は本当にありがとうございました。おかげで元気になったので、今日は、一度アパートに戻ってから出社します。課長とセンパイのことは、欠勤で報告しておきますから、ご心配なく。うふふふ。朝から、ステキなモノを見せていただいちゃいました。色々な意味で、ごちそうさまでした~』

 最後に書かれている、喜色満面がにじみだしているようなハートマークを呆然と見つめ、がっくりと脱力してしまう。

 あああ。

 見られた。

 見られちゃったよ……。

 本当、美加ちゃんには、色々と恥ずかしい場面を見られちゃってるなぁ。

 昨夜の、『OL・深夜に寝込んだ上司を襲うの図』をしっかり目撃された時のことを思い出し、ヒクヒクと変なふうに頬がひきつる。

 ま、いいか、今更だ。

 それに、相手は美加ちゃんだし。