改めて病院で手当てを受けた美加ちゃんの傷は、どうにか縫わずに済んでホッと一安心。

 胸をなでおろして化膿止めと痛み止めの薬をもらい、美加ちゃんと二人で私のアパートに着いたのは、もう夜も更け日付が変わった深夜十二時過ぎ。

 夜空からは、青白い満月が煌々とした光を投げかけていた。

「おじゃましまーす」

 おずおずと、私の部屋に足を踏み入れた美加ちゃんは、サイド・ボードに飾ってある世界遺産のミニチュア模型を見つけるや、目をキラキラと輝かせて歩み寄った。

「うわぁ、これ、実は私も欲しかったんですー。でも、あたしって不器用だから絶対仕上がらないなぁって、泣く泣くあきらめたんです。さすが、先輩。うわー、この寸分の狂いもない組み立て具合。凄いなぁ」

「そんなことないわよ。私も細かい図面を書くのは得意でも、実際組み立てる方は、もう苦手。凄い不器用なのよ。それは、気の遠くなるような時間の積み重ねの賜物」

「でも、こうしてきっちり完成させちゃうんですから、やっぱり凄いです」

「そう? 素直に喜んでおくわ。ありがとう」

 それはそうと。

「まずは、着替えね。うーんと……」

 こういう時は、八畳と十畳の二間しかない狭い我が部屋にも、なんでもすぐ手が届く便利さがあることを再認識する。

 DK内にあるクローゼットを開けて、洗濯済みのスウェットの上下を物色すると「これで良かったらどうぞ」と美加ちゃんに差し出す。

 さすがに、血の飛び散ったブラウスとスカートでは、見ている方が痛々しい。

「ありがとうございます。遠慮なく、お借りします」