応援してくれる可愛い後輩もいることだし。
美加ちゃんの熱いエールに『私も頑張るよ』と言った手前、ここは一丁勇気を出して課長にアタック開始!
……なんてことは出来ないのが、やっぱり私、高橋梓。
結局、何も出来ないまま聞けないまま、時は過ぎて。
ふと気づけばいつの間にかうっとおしい梅雨は明け、暦は夏も近づく爽やかな文月、七月も中旬になっていた。
行動を起こさなければ良くも悪くも結果は明白で、課長とはなんら進展があるわけはなく、仕事に追われてそれどころじゃないのが、ありがたかったりする。
お昼休みが過ぎたと思ったら、あっと言う間に午後五時の終業時間がやってくる。
本日も相変わらず工務課内は当たり前の残業モード突入で、課長も当然のごとく私の残業に付き合っている。
特に無駄話をするわけでもなく、黙々と切りがない図面書きに没頭すること更に二時間が過ぎて、ただ今午後七時。
ここで、工務課の約半数を占める家庭がある主婦社員が帰路につき、残る私たちシングル組が店屋物で夕飯を取り、更なる残業に勤しむことになる。
もちろん、私もご多分に漏れずシングル組の筆頭として、あと二、三時間は残業する予定だ。