お昼時の社員食堂は、いつものごとく賑やかなざわめきで溢れていた。
長方形のアイボリーのロングテーブルがずらずらと並ぶ、シンプルな社食の一番奥まった角の席。
私と美加ちゃんは、他の社員から少し離れた内緒話には最高のポジションに陣取り、今日のランチ・メニューの味噌カツ定食を平らげた後、食後のコーヒーを飲みながらOLの憩いのひと時の『おしゃべりタイム』を満喫していた。
美加ちゃんにとっては、興味津々の週末パーティの結果報告を、私から聞き出す絶好のチャンスなのだ。
「本当は金曜の夜に、よっぽど電話しようかと思ったんですよー。でも、もしも課長と良い雰囲気に突入してたら、お邪魔虫になっちゃうし、土日は私が彼氏とお泊りデートで電話できないし。もう、気になって気になってぇ」
場所柄をはばかってか、向かい側に座った美加ちゃんは私の方に顔を寄せて声を低めた。
それでも、瞳にはキラキラリンと、期待と妄想と言う名のお星様が輝いている。
「あ、あははは……。彼氏とお泊りデートだったの、素敵ねぇ」
何とか話をそらそうと話題を振ってみるけど、さすがは美加ちゃん。こんなに美味しいネタを見逃してはくれなかった。
かくかく云々と。
課長の婚約者候補嬢のことはあえて触れずに、私がパーティの二次会で飯島さんから告白されたこと。
忘れ物をして土曜日に遊園地デートをする羽目になり、おまけに課長親子と鉢合わせしたことを順を追って簡単に説明すると、美加ちゃんは、驚き半分納得半分と言った微妙な表情を浮かべて、綺麗に整えられた眉根を寄せた。