でも、実際こうして身近に接してみると、なかなかどうして可愛らしい。
もっともそれは、人懐っこい真理ちゃんの性格によるものが大きいとは思うけど。
以前一度会っている私はともかく、初対面の飯島さんにもすぐに懐いてしまって、真理ちゃんを挟んで三人、お手て繋いで仲良く歩く様はきっと、はたから見たら親子に見えるだろう。
身長に制限があるから乗れないアトラクションも多かったけど、真理ちゃんはどんな乗り物に乗っても、全身全霊で楽しんでくれているのが分かった。
心底楽しそうな笑顔を見ていると、本当に、こっちまで癒される。
ギュッと握り返してくれる、モミジのように小さな手の柔らかい感触と温もり。
ツインテールを弾ませて、元気いっぱいにピョコピョコと跳ね飛ぶように歩く姿は、まるで子ウサギのよう。
本当に、可愛いったらない。
その破壊的なまでの愛らしさは、ともすれば私の中に負の感情を芽生えさせてもおかしくはない『真理ちゃんが課長の子供』だという事実をも、取るに足らないもののように感じさせる。
ふと、私も、このくらいの年ごろの子供が居てもおかしくない年齢なのだと気付き、ドキッとしてしまう。
でも、無理ね。私にはきっと。
こうして、いつまでも、独りよがりで自分勝手な想いを、断ち切れないでいるのだから。
あきらめも要領も悪くて、強欲ごうよく。
人の親になれるような、自信も資格もない。
第一、相手がいないもの。
「高橋さん。真理、次は、あれがいいっ!」
考えに沈みかけた心を真理ちゃんの元気な声に掬いあげられて、ハッと現実に立ち返る。
プクリとした小さな指先の指し示す先には、遊園地の定番、メリーゴーランド。
――何を、ぐちぐち考えてるの。
今日は、私自身も童心に返って楽しむって決めたんだから。
もう、悩むのはやめ、やめっ!
「よーし、真理ちゃん。メリーゴーランドに、レッツ・ゴー!」
「ゴー!」