所謂一般で言う所の『愛の告白』というモノをされたのだと、エラー中の脳細胞は上手く認識してくれない。

 だって、こんなこと生まれて初めて。

 東悟との時はいつの間にか付き合うようになっていて、こういうストレートな告白は無かった。だから、どう反応していいのか全然分からない。

「あ、あの私……」

 飯島さんは、いい人だ。とってもいい人だと思うけど。

 ああ、どうしよう。

 どうしたらいいんだろう。

「好きな人でも、いるんですか?」

 真っ直ぐな、きっと嘘をついたら見透かされてしまいそうなくらいに真っ直ぐな瞳が、狼狽えまくる私を情け容赦なく射抜く。

 私は今も『東悟』を、思いきれないでいる。谷田部課長に、惹かれずにはいられないでいる。

 でも、本当のことなど言えるはずがない。だからやっぱり、口からこぼれ出すのは嘘ばかり。

 それが何だか切ない。

「好きな人は、いません。でも、今は仕事に専念したいんです。だから……」

『付き合えません』と、ぴしゃりと断れない自分のこの優柔不断さが恨めしい。

「仕事は、好きなだけしたらいいんです。俺だってそうですよ。でも仕事と恋は別物だと俺は思います。別に仕事に専念したって、恋はできるでしょう?」

「それは、そうですけど……」

 ああ、どうしたら、分かって貰えるだろう。

 どうしたら、この人傷つけずに、諦めて貰えるだろう。

 若干、告白ショックから回復しつつある脳細胞で一生懸命考えを巡らせてみるけど、悲しいかな経験不足で、まったくいい考えが浮かばない。

 やっぱり、正直に好きな人が居るって話した方が良いのかな?

 でも……。