飯島さんの提案で、パーティ会場であるホテルロイヤルの最上階にある展望ラウンジでの二次会が決まり、店内でも奥まった所にある一番見晴らしの良い席がちょうど空いたため、私たちはイソイソとそこに陣取った。
壁一面に広がった展望窓からは、夜の帳に包まれた街の明かりが、まるで天の川のように瞬いているのが見えた。
ゆっくりと流れていく車のライトが淡く尾を引き、幻想的な風景を作り出している。
窓際に座らせてもらった私は、窓ガラスに張り付くように階下に広がる絶景を見渡し、その美しさに目を見張った。
「うわー、素敵な眺めですね」
「そうでしょう? この眺めを、ぜひ高橋さんに見せたかったんですよ、俺は」
そう言って、飯島さんはニコニコと邪気のない明るい笑顔を浮かべる。
こうも屈託なくあっけらかんと言われると、素直に嬉しくなる。
「ありがとうございます。本当に綺麗……」
昼間はカフェ・レストラン。夜は、お酒を飲めるナイト・ラウンジになるこの展望ルームは、週末と言うこともあってか、様々な年代の『カップル』で静かな賑わいを見せていた。
適度に明かりが落とされた木目調のシックな室内には、ゆったりとした音楽が流され、低い囁き声と微かな笑い声で満ち溢れている。
思いっきり、大人のデート・スポットだ。入ってきた時にさり気なく見回した感じでは、私たちのように『男女混合二次会御一行様』は居そうにない。と言うか皆無だ。
はっきり言って落ち着かない。
でも、一番気がかりなのは……。