「あ、あははは、ご遠慮しておきます。私はあまりお酒に強い方じゃないので、きっと勝負になりませんから」

『課長の歓迎会の悪夢』が脳内を勢いよく駆け巡り、更に笑いが引きつってしまう。

 いつも元気で陽気な監督さんだけど、今日はまた特別底抜けて明るい。

 多少お酒が入っているせいだろうか。

 泣き上戸とか笑い上戸とかあるけど、これは何上戸なのだろう?

「じゃあ、谷田部さんはどうですか? いける口ですか?」

 私にお酒を飲ませることを諦めたのか、飯島さんは課長に笑顔で話を振った。

 対する課長もいくらかお酒が入っているはずだけど、鉄壁の営業スマイルは崩れない。

「ええ、まあ、それなりに。弱くはないと思いますが」

「おっ、それは頼もしい」

 その答えを待ってましたとばかりに、ニッコリと飯島さんの顔に会心の笑みが浮かんだ。

「じゃあ、パーティの後、三人で二次会に行きましょう!」

 ――は、はいっ!?

 とんでもない提案と言う名の決定事項に、思わず点目になったのは言うまでもない。