♪side:翔一
アホみたいに暑かった夏が嘘みたいにどこかへ行って、そこら辺に生えてる木の葉がみんなオレンジとか黄色に染まり始めたと思ったら、服が長袖になった。少しずつ長野も冷え始めてきた。それでも俺達の生活は変わらない。
もう少しで雪が降りはじめそうな程冷え込んできた頃、俺は未だに就職先が決まっていなかった。周りはみんな就活を終わらせて残りの大学生活を謳歌していると言うのに、俺を含む数人の同級生が社会の中で売れ残ってしまった。航大も長野で内定を貰ったと聞いた。俺はどうしようか迷っていた。航大のいる長野に残ってそのまま同じアパートに暮らすのもいいと思ったし、新宿に帰って地元の企業に就職してしまおうかとも思っている。そういう優柔不断なところが、一向に内定を貰えない理由なのかもしれない。結局、夢も希望も、やりたい事すら無いような俺なんかに寄り添ってくれる程、社会は甘くなかった。凡庸な人間一人が、濁流のように流れていく世界の中で周囲に流されないように生きていくには、相当の努力と忍耐が必要なんだと痛感した。
航大との未来の事は考えなかった訳では無い。けど、一緒に住もうが別の道を歩もうがお互いの勝手なわけで、俺が「こうしてほしい」みたいな事を言うつもりは無い。建前ではあるけれど、これからも一緒にいたいとかいう本音を航大に言うつもりも毛頭無い。それはきっと、迷惑だと思うから。とか言っておきながら、本音を伝えたい気持ちはとんでもなく強いのだから笑えない。
そうやって悩みまくりながら、本音を伝えるかどうかずっと葛藤していた。
そのまま何日か過ぎて、近くのショッピングモールにはクリスマスツリーが出されていた。地面がうっすら雪に覆われ始め、本格的に冬が訪れ始めていた。
アホみたいに暑かった夏が嘘みたいにどこかへ行って、そこら辺に生えてる木の葉がみんなオレンジとか黄色に染まり始めたと思ったら、服が長袖になった。少しずつ長野も冷え始めてきた。それでも俺達の生活は変わらない。
もう少しで雪が降りはじめそうな程冷え込んできた頃、俺は未だに就職先が決まっていなかった。周りはみんな就活を終わらせて残りの大学生活を謳歌していると言うのに、俺を含む数人の同級生が社会の中で売れ残ってしまった。航大も長野で内定を貰ったと聞いた。俺はどうしようか迷っていた。航大のいる長野に残ってそのまま同じアパートに暮らすのもいいと思ったし、新宿に帰って地元の企業に就職してしまおうかとも思っている。そういう優柔不断なところが、一向に内定を貰えない理由なのかもしれない。結局、夢も希望も、やりたい事すら無いような俺なんかに寄り添ってくれる程、社会は甘くなかった。凡庸な人間一人が、濁流のように流れていく世界の中で周囲に流されないように生きていくには、相当の努力と忍耐が必要なんだと痛感した。
航大との未来の事は考えなかった訳では無い。けど、一緒に住もうが別の道を歩もうがお互いの勝手なわけで、俺が「こうしてほしい」みたいな事を言うつもりは無い。建前ではあるけれど、これからも一緒にいたいとかいう本音を航大に言うつもりも毛頭無い。それはきっと、迷惑だと思うから。とか言っておきながら、本音を伝えたい気持ちはとんでもなく強いのだから笑えない。
そうやって悩みまくりながら、本音を伝えるかどうかずっと葛藤していた。
そのまま何日か過ぎて、近くのショッピングモールにはクリスマスツリーが出されていた。地面がうっすら雪に覆われ始め、本格的に冬が訪れ始めていた。