次の日、目が覚めると、部屋にはもう大樹はいなかった。でもそれはとてもしょうがないことのように思えた。拒否してしまった私たちに、これからがあるはずなんてなかった。
何時だろうと、スマホを見遣ると、大樹から二通のメッセージが届いていた。見てみると、ゆっくりと私の視界が歪んでいった。
そこには、『琴音ちゃんと、ちゃんと会って話しておけよ。絶対、後悔すんからな。それと、岳ってやつにも、しっかり返事しろよ』と書かれていた。
大樹はなにもかも気づいていたんだ。岳くんへの気持ちが、恋心に変わっていることに。だから私を襲う振りして、気づかせようとしてくれて、そもそも、大樹は私を襲う気なんてさらさらなかった。なのに私は、勝手に大樹を嘘つきだと思ってしまった。私のためにしてくれたことなのに、恩知らずなことを思ってしまった。
次のメッセージを見ると、そこには『もう会わないから言っとくことにする』書かれていた。首を傾げてしまいながらも、スクロールしていくと、そこには思いもしない言葉が書かれていた。
『ずっと、凛のこと好きだった』
目頭が、いっそうに熱くなっていく。
嗚咽が、零れていく。
ぎゅっとスマホを抱きしめ、読み返した。
だったらどうして他の女と付き合ったりしたんだよ、と思ったけど、なんだかんだ子どもっぽい大樹のことだから、それで私を振り向かせたかったんだろうと、今だから分かる。早くそれに気づけなかった私は、もっと馬鹿だ。
だから私は、迷わず大樹に電話をかけた。十秒くらい経ってから、大樹は電話に出てくれた。
『今度、今日のお礼したいんだけど』
大樹は少し沈黙してから、あからさまに大きなため息を吐いた。
『あのさ、もう会わないって言ったよな?』
『でも、大樹だって電話に出たじゃん。私は、こんなので大樹と友達やめるなんて嫌』
『それも、ずるがしこくいるためなのか』
大樹は少し小さな声で言った。だけど私は少し声を張った。
『そう。大樹以外に、だれが私の愚痴聞くの?』
『なんでそれ。俺、損な役周りだな』
『嫌なの?』
『いや、良いけどさ。でも俺はまだ全然、凛のこと好きなんだけど、良いのかよ』
『うん。もしかしたらこれから大樹のこと好きになるかもよ?』
そう言うと、大樹は『ははっ』と小さく笑った。
『なんだそれ。ほんと、ずるがしこいな』
『まあ、それが私だから』
『じゃあ今度、飯でも奢ってもらおっかな』
心なしか大樹の声が明るくなった気がして、私はつい軽く口角が上げてしまった。
『良いよ』
『んじゃ、またな』
『うん、またね』
通話が切れて、私はすぐに帰る準備をした。大樹と元通りになれたのは嬉しいけど、それに浸っている暇はなかった。大樹には心の中で感謝をし、すぐに帰る準備に取り掛かった。喉が渇いて、側にある昨日買ったぬるいカフェオレを飲み干す。とりあえず着替え、ヘアセットをする時間も惜しかったから、くしで髪をとかしてホテルを出ようとした。
でもその前に、私はスマホでLINEを使い、琴音とのトークを開いた。
私は『今日、東大のイチョウ並木で会いたい』とメッセージを送り、ホテルを後にした。
何時だろうと、スマホを見遣ると、大樹から二通のメッセージが届いていた。見てみると、ゆっくりと私の視界が歪んでいった。
そこには、『琴音ちゃんと、ちゃんと会って話しておけよ。絶対、後悔すんからな。それと、岳ってやつにも、しっかり返事しろよ』と書かれていた。
大樹はなにもかも気づいていたんだ。岳くんへの気持ちが、恋心に変わっていることに。だから私を襲う振りして、気づかせようとしてくれて、そもそも、大樹は私を襲う気なんてさらさらなかった。なのに私は、勝手に大樹を嘘つきだと思ってしまった。私のためにしてくれたことなのに、恩知らずなことを思ってしまった。
次のメッセージを見ると、そこには『もう会わないから言っとくことにする』書かれていた。首を傾げてしまいながらも、スクロールしていくと、そこには思いもしない言葉が書かれていた。
『ずっと、凛のこと好きだった』
目頭が、いっそうに熱くなっていく。
嗚咽が、零れていく。
ぎゅっとスマホを抱きしめ、読み返した。
だったらどうして他の女と付き合ったりしたんだよ、と思ったけど、なんだかんだ子どもっぽい大樹のことだから、それで私を振り向かせたかったんだろうと、今だから分かる。早くそれに気づけなかった私は、もっと馬鹿だ。
だから私は、迷わず大樹に電話をかけた。十秒くらい経ってから、大樹は電話に出てくれた。
『今度、今日のお礼したいんだけど』
大樹は少し沈黙してから、あからさまに大きなため息を吐いた。
『あのさ、もう会わないって言ったよな?』
『でも、大樹だって電話に出たじゃん。私は、こんなので大樹と友達やめるなんて嫌』
『それも、ずるがしこくいるためなのか』
大樹は少し小さな声で言った。だけど私は少し声を張った。
『そう。大樹以外に、だれが私の愚痴聞くの?』
『なんでそれ。俺、損な役周りだな』
『嫌なの?』
『いや、良いけどさ。でも俺はまだ全然、凛のこと好きなんだけど、良いのかよ』
『うん。もしかしたらこれから大樹のこと好きになるかもよ?』
そう言うと、大樹は『ははっ』と小さく笑った。
『なんだそれ。ほんと、ずるがしこいな』
『まあ、それが私だから』
『じゃあ今度、飯でも奢ってもらおっかな』
心なしか大樹の声が明るくなった気がして、私はつい軽く口角が上げてしまった。
『良いよ』
『んじゃ、またな』
『うん、またね』
通話が切れて、私はすぐに帰る準備をした。大樹と元通りになれたのは嬉しいけど、それに浸っている暇はなかった。大樹には心の中で感謝をし、すぐに帰る準備に取り掛かった。喉が渇いて、側にある昨日買ったぬるいカフェオレを飲み干す。とりあえず着替え、ヘアセットをする時間も惜しかったから、くしで髪をとかしてホテルを出ようとした。
でもその前に、私はスマホでLINEを使い、琴音とのトークを開いた。
私は『今日、東大のイチョウ並木で会いたい』とメッセージを送り、ホテルを後にした。