あからさまな沖田さんの態度に怪訝そうに眉をしかめた男の子だったけれど、然して気にしてはいないのか「本当の名前は何ていうんだよ?」と問い掛けてくる。
「改めまして、立花結月と云います。君の名前は?」
「ふーん、結月な。俺は勇也だ」
「勇也……それじゃあ勇坊ですね」
「っ、なんだよ勇坊って!恥ずかしいからやめろよな!それに、俺は坊やなんて年じゃねーよ!」
「あはは、いいじゃないですか。勇坊っ」
沖田さんの言葉にガルルッとまるで犬の様に楯突く勇也くん。
そしてそんな勇也くんを楽しそうに揶揄う沖田さん。
――沖田さんは生前、壬生寺で近所の子どもたちとよく遊んでいたと聞いた。
きっとこんな風に楽しそうな声を響かせていたんだろうな。
何だか微笑ましい気持ちになりながらも、自分より一回りも年下の子から呼び捨てにされていることに気付いて内心苦笑いも浮かぶ。
それと同時に、勇也くんを見ていたら実の弟の顔が頭に浮かんだ。
……最近会えていないけど、元気だろうか。