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「――それじゃあ、俺もう行くから。先生も待ってるだろうし」
「はい。頑張ってくださいね」

道場へと向かう男の子にひらひらと手を振る沖田さん。
しかし男の子は一度向けた背をくるりと返して、再びこちらに向き直った。


「……お前、名前は?」

どこか照れ臭そうに聞いてきた男の子。
そういえば、確かにお互いに名乗っていなかったことを思い出す。


男の子の言葉ににっこり笑顔を浮かべているのだろう、朗らかに返す沖田さん。

「沖田総司と云います」
「はあ?それ、新選組にいる奴の名前だろ。もしかしてお前、新選組のファンなのか?」


…………沖田さん。
今、自分が私の身体に乗り移っているということをすっかり忘れていましたね。


男の子の言葉に明らかな動揺を見せた沖田さんは、「っ、ああっ、えっと、そうなんですふぁん、なんです!あはは、間違えちゃいました!」なんて空笑いを浮かべている。