沖田さんは、「僕は君のお祖父さんにお会いしたことはありませんけど……今の君を見て、喜んでいないことだけは確かだと思いますよ。――勝てないなら今以上に鍛錬すればいいだけの話です。簡単なことじゃないですか」と続ける。
静かに話を聞いていた男の子は、俯いていた顔をゆっくりと上げた。
その表情は、先程よりもほんの少しだけ晴れやかに映る。
――沖田さんの言葉に心を動かされたのだろうか。
男の子は乱暴に涙を拭って、再び鋭い視線を宿した。
「……やってやるよ!もっともっと練習して、強くなってやる!お前だってコテンパンにしてやるからな!」
「っ、あははっ、それは楽しみですね」
男の子の頭をポンと一撫した沖田さんは、「そうですね、それじゃあ最後に一つだけ助言です。いいですか、竹刀で斬るんじゃありませんよ。――体で斬ろうとしなさい」と目線を合わせて伝える。
「それから、その竹刀も。大切にしてくださいね」と言葉を添えて。
沖田さんの言葉を男の子はよく理解できていないみたいだったけれど、「後は自分で考えてみてください。……大丈夫。君は良い瞳をしていますから――絶対に強くなりますよ」と続けられた言葉に、力強く頷いてみせた。