沖田さんの言葉に唇をぎゅっと噛み締めた男の子は、掴まれた手を振り払って声を荒げる。

「っ、何でお前にそんなことが分かるんだよ!」

荒らぐ男の子の声とは対照的に、沖田さんは凪いだ声色で言の葉を紡ぐ。


「分かりますよ。……僕は、いまでもずっと後悔していますから。――あの人たちと、最後まで共に戦えなかったこと」

最後の小さな呟きは男の子には聞こえなかったかもしれないけれど、もちろん私にははっきりと届いた。


――何でだろう。

今沖田さんがどんな表情をしているかなんて、私には分からないはずなのに。

――――きっと沖田さんは、泣いている。
顔には出さずとも、心は哭いているんだと分かる。

心が張り裂けそうな程にずきずきと痛むこの胸が、それを証明してくれる。


沖田さんは、ずっとずっと、この痛みを抱えて一人で彷徨っていたのだろうか。……苦しくて、堪らない。