「っ、ばあちゃんも、先生も、じいちゃんは俺に剣道続けてほしいって思ってるって……でも、俺みたいな弱い奴が続けてたって意味ないんだっ……!!どれだけ練習しても勝てないし、今だってお前にも負けたし……!!」
思いの丈を吐き捨て、この場を去ろうと背を向ける男の子。
しかしその手を掴んで行く手を阻んだ沖田さんは、静かな声色で男の子へと問い掛ける。
「――君は、何の為に剣を握っているんですか?」
「……っ、は、急に何言ってるんだよ」
沖田さんの問いに、一拍置いて返した男の子。
その声からは困惑や動揺の色が垣間見える。
「お祖父さんに誘われたからですか?ただ、勝ちたいからですか?……もちろん、剣を握る理由は人それぞれだと思います。ですが、今ここで全てを投げ捨ててしまったら――きっと君は後悔します」