「僕の勝ちです」
にっこり笑ったのであろう沖田さんを見て、見開かれていた男の子の瞳は鋭く静かな光を宿した。
――目を凝らしてみれば男の子の手は震えている。きっと怖かっただろう。
男の子から見たら相手はただの女子大生だが、中身はあの沖田総司なのだ。
それでも尚、果敢に立ち向かおうとするこの男の子は――。
「……良い瞳をしますね」
呟いた沖田さんは腰を屈めて男の子の目の前にしゃがみ込んだ。
じっと見つめ合った後、ふっと息を吐いた沖田さんは優しい声色で語り掛ける。
「教えてくれませんか?君が泣いていた理由を。その竹刀も……本当は大切なものなんですよね?」