……でも、よくよく考えてみると。
この勝負に負けて土下座するのって、結局は私ということになるよね。身体は私のものなわけだし。
そう思うと、私の身体で勝手に約束を取り付けてしまった沖田さんに対してほんの少しの不満も出てくる。
剣の天才と謳われた沖田さんが負けるとは思えない。
……けれど、実際に沖田さんの剣の腕前を見たこともないのだから、不安な気持ちは拭いきれない。
高鳴る緊張を押さえつけながら、自然に動き出す身体の中で静かに様子を見守る。
沖田さんは男の子が所持するものとは別に、壁に立てかけられていたもう一本の竹刀を手にする。一体何処から……いつの間に調達してきたのか。
さっき体育館を覗いていたから、その時にでもこっそり拝借してきたのかもしれない。