――現状を整理してみよう。
私の身体を借りると言った沖田さん。意志に反して勝手に動く私の身体。
――――どうやら、今私の身体には、沖田さんが憑依しているみたいだ。
思考は正常に動いているというのに、身体だけが無意識下の元に動いているという不思議な感覚。正直、違和感が途轍もない。
どうにも気持ちが落ち着かないが、私のそんな奇妙な感覚もお構いなしに、男の子との遣り取りは進められていく。
「なっ、や、やるわけねーだろ!何でお前なんかに俺の竹刀をやらなくちゃならないんだよ!」
「うーん、ですが君は竹刀を踏みつけているじゃないですか。そんなに大切なものでもないんですよね?だったら……僕にください」
沖田さんの言葉に狼狽えた様子の男の子。
――まあ実際に話しているのは私だけれど。
グッと唇を噛み締めた男の子に対し、口角を上げて無言の視線を送り続けている。
……沖田さんってば、一体何を考えているんだろうか。
沖田さんが乗り移っている状態ではあるけれど、その思考の内は一切分からない。