数十秒か、数分か。
短いようで長かった沈黙の末、男の子がゆっくりと顔を上げた。
だけどその顔は不機嫌そうに歪められていて、これから快く話をしてくれるような雰囲気ではないことが分かる。
……お前には関係ないとか、放っておいてくれとか言って突っぱねられてしまうだろうか。
脳裏に浮かんだ当たっては欲しくない未来。
――どうやら、そんな私の予想は的中してしまったらしい。
「っ、お前には関係ないだろ!」
鋭い目つきで怒鳴られてしまい、小学生くらいの男の子が相手ではあるけれど思わず肩を揺らしてしまう。
「……そうだね。私には関係ないことだけど……。君、剣道やってるんだよね?もしかして、」
剣道に関することで何かあったのではないか。
そんな私の問い掛けは、口に出す前に大きな声で遮られてしまう。
「っ、剣道なんてもうやめたんだよ!何にも面白くないし、つまんねーし!」
先程よりも声を大にして叫んだかと思うと、男の子は立てかけておいた竹刀を乱暴に地面に投げ捨てて土足で踏みつけた。