「な、何だよお前」

目元を勢いよく擦りながら立ち上がる男の子。

小柄で肌の色は白く華奢な体つきをしているので、見た目だけだと大人しく気弱そうな印象を受ける。だけどはきはきと話す姿やこちらをキッと睨み付けてくる鋭い視線からして、本来は活発な子なのだろう。


「えっと……君、さっき公園を走って行ったよね。その時に君のことを見て、何だか気になっちゃって」

少したどたどしくなってしまいながらも、ここまでやって来た経緯を説明する。

そんな私の話を顰め面で聞く男の子。

いきなり知らない人に話しかけられたら不審に思ってしまうのも当たり前だろうから、少しでも警戒心を解いてもらえるようにと腰を折って、今できる限りの笑顔を作って声を掛ける。