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探していた男の子は、存外直ぐに見つかった。
公園に隣接する形で建てられている市民体育館。
出入り口から少し距離のある水飲み場で、一人膝を抱えて座り込んでいる。
何と声を掛けたら良いのか……思案しながら男の子の元へと歩み寄る。
体育館の中からは、気迫の溢れる掛け声や竹刀のぶつかり合う音が響いている。
男の子も胴着姿で竹刀を持っているし、きっとここで剣道の練習をしているのだろう。
「わあ、竹刀と竹刀がぶつかり合うこの音、この空気……懐かしいですね」
腕を組みながら懐かしそうに目を細める沖田さん。
「沖田さんも毎日稽古していたんですよね」
「はい、それはもちろん。竹刀に限らず、木刀や真剣での立ち合いをすることもあったんですよ」
沖田さんの話に感嘆の溜息を漏らしていれば、私の声が耳に届いたのだろう――俯いていた男の子が勢いよく顔を上げた。
泣いたことがはっきりと分かる赤い目が驚きを宿してこちらに向けられる。