夜道を歩きながら考えるのはバイト先の仲間のこと。 そして次に頭に浮かんだのは……壬生寺で出会った青年のこと。 名前も知らない、初めて会った青年。会話だってほとんどしていない。 だけど、何でだろう。あの青年の哀しそうな表情が脳裏に焼き付いて消えない。 ――まるで世界にたった一人ぼっちで取り残されたかのような、迷子の子どものようなあの瞳。 思い出すだけで、胸が締め付けられるかのように苦しくなって仕方がない。