「……よし。それじゃあ行きましょうか」
徐にブランコから立ち上がった沖田さん。
組んだ両手をグッと上に向けて伸びをしながら、「ほら、結月さんも立ってください」なんて軽やかな声で促される。
「行くって、どこに行くんですか?」
「どこって、追いかけるんですよ。……気になるんですよね。あの男の子のことが」
「顔に書いてありますよ」と続けながらクスリと笑う沖田さんには、私の考えていることなんて全てお見通しなのだろう。
――名前も知らない男の子だけれど、あんな表情を見てしまったら気になって仕方がない。
私が口出しするようなことじゃないことも、余計なお世話だってことも分かってはいる。それでも――このまま放っておくことはしたくない。