「……時間もありますし、少しだけ寄っていきませんか?」
「え、」
私の言葉に戸惑う様子を見せる沖田さんだったけれど、彼が言葉を発する前に被せるようにして「私、久しぶりにブランコにのりたいです!」と声を上げる。
「ほら、行きますよ!」
沖田さんを追い抜いて先に公園へと足を進めれば、私の強引さに呆れたのか、観念したのか、「わかりました」と苦笑いで後を付いてきてくれた。
――小さく聞こえた「ありがとうございます」には、聞こえないふりをしておく。
だってお礼を言われるようなことは何もしていないから。
私が沖田さんと行きたかった、ただそれだけだ。
だから返事の代わりに、笑って沖田さんの名前を呼んだ。
「沖田さん!はやくはやく!」