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大学での講義が終わった。
沖田さんには少し退屈だったかもしれないなんて杞憂していたけれど、そんな心配は必要なかったらしい。
講義中ちらりと隣に座る彼を見遣れば、真剣な表情で教授の話に聞き入っていたからだ。
大学を出て人通りの少ない道に差し掛かった所で、早速沖田さんに講義を受けての感想を聞いてみる。
「初めての大学はどうでしたか?つまらなくなかったですか?」
「そうですね、理解できない言葉も多々ありましたけど……とても興味深い内容でした。楽しかったですよ。それに想像していたよりも広大な敷地だったので驚きました!屯所よりもずっと広かったです」
今朝は私のことを子ども扱いしてきた沖田さん。
だけど今では、喜々として語る彼の方がよっぽど子どもらしさを擁して見える。