「それじゃあそろそろ出ましょうか。あ、沖田さんの姿は他の人には視えないでしょうし、流石に人前で話すことはできませんけど、もし何か分からないことや気になることがあったら何でも聞いてくださいね」
「ふふっ、はい、分かりました。でも僕のことは気にせず、結月さんはきちんと勉学に励んでくださいね」

頭にのせられた大きな手に、優しくポンポンと撫でられる。


……顔には出していないつもりだけど、沖田さんと一緒に出掛けられることに内心で燥いでしまっていることがばれているのだろうか。

何だか、子ども扱いされている気がする。


「……はい、もちろんですよ!」

照れ隠しに態と気合十分の声を上げれば、またクスクスと笑われてしまった。


「っ、ふふ、頑張ってくださいね」

優しい笑顔と共に、温かな手が又しても頭にのせられた。


――鏡を見なくても分かる。
今度こそ私の頬は真っ赤に染まっていることだろう。