「――よし、それじゃあ私は留守番をしていますから。気を付けて行ってきてくださいね」
笑顔で見送りの言葉を口にする沖田さんに、私から一つの提案をしてみる。
「あの、沖田さんが良かったら、なんですけど。今日は一緒に大学に行ってみませんか?」
「え。僕が一緒に、ですか?」
目を丸くする沖田さん。
私から誘われるなんて思ってもいなかったのだろう。
「だいがくって、学びの場なんですよね?寺子屋みたいなものでしょうか」
「まあ大雑把に言えばそんな所です。自分の好きなこと、気になる分野について学ぶことができるんですよ。どうですか?」
「そうですね……」
数秒の間の後、「結月さんがご迷惑でなければ、ぜひお供させてください」と言われて嬉しくなる。
沖田さんのことだから、私に遠慮して断るんじゃないか、なんて思っていたから。