「あははっ、分かってますよ。……結月さん、ありがとうございます」 緩やかに目元を細めながら「ぜひ、結月さんに話を聞いてもらいたいです」と続けられた言葉が嬉しくて、胸が熱くなる。 「ふふっ、はい!……どういたしまして」 ――――私の思いが、ほんの少しでも伝わっていればいい。 終わりの見えない時をたった一人で彷徨ってきたこの人にとって、ここでの生活が束の間でも心安らぐ時になってくれればいいと。 今はただ、そう思う。