「素敵な写真ですね」
目を細めて笑う沖田さんに妙な気恥ずかしさを感じながらも、「ありがとうございます」と言葉を返す。
「沖田さんは確か……お姉さんがいましたよね?」
以前見た文献にはそう書かれていたはず。
微かな記憶を頼りに聞いてみれば「はい。良く知っていますね」と返ってきて、記憶が正しかったことに少しだけ嬉しくなる。
沖田さんは写真に視線を向けたまま、静かに語り始めた。
「僕には姉が二人いました。両親は幼い頃に亡くなっていたので、姉が母代わりとなって僕を育ててくれたんです。ですが僕が十歳(とお)になる頃には家を出されて試衛館の内弟子になったので……実質家族で過ごした日々はそう長くはありません」
淡々と話す沖田さんだけど、その横顔は心なしか寂しそうに映る。
「ですから……僕にとっては試衛館時代から共に居た仲間も、等しく家族のようなものでした。多分、土方さんは僕にとっての兄……のような存在、だったのかもしれません」