洗面所で歯を磨いて、軽く身なりを整えてからリビングへと戻る。

鞄の中に入れ忘れた物はないかと確認していれば、皿洗いを終えた沖田さんが歩み寄ってきた。


「昨夜奮闘していた書類は鞄に入れましたか?」

“昨夜奮闘していた書類”
――サークル内で急遽提出することになったレポートのことだ。


先輩から“明日提出だぞ。忘れるなよ”とメッセージが届いたのは夕飯を食べ終わった後。

提出日が早まったことをすっかり忘れていた私は、まだ半分ほどしか仕上がっていないレポートを日付が変わる直前までPCの前に齧り付いて何とか完成させたのだ。