「こうして霊体としてこの世に降りてから、もちろん八木邸にも行きました。……あの場所、門前に誠の旗が掲げられているんですよ。あの御旗を目にすると……どうしても、思い出してしまうんです。果たせなかった夢も、誓いも……。あそこには、思い出が多過ぎます」 思いを語る沖田さんの声は切なさを孕んでいるのに、どこまでも凪いているように感じられる。 ――今、空を見上げる沖田さんの瞳には、何が映し出されているのだろうか。