私の視線に気付いたのだろう、青年はゆっくりとこちらに顔を向けたが、次の瞬間には大層驚愕したとでもいうように目を瞠った。

飴色の澄んだ瞳に私が映る。

「……僕のことが、みえるの?」
「っ、え?」

――今、この青年は何と言っただろう。
自分のことが見えるのか、なんて。そんなこと当たり前ではないか。


「えっと、はい。確かに見えてます、けど……」

どう返答するのが正解なのか分からないが、思ったままを口にする。

私の返事を聞いた青年は、唇をグッと噛み締めて、俯いた。


――俯く直前に見えた表情が、今にも泣きだしてしまいそうな幼子のように見えた気がして。

私は答えを間違ってしまったのだろうか、と何だか申し訳ない気持ちになる。
下を向いたまま黙り込んでしまったこの青年に、何と声を掛けたらいいのだろうか。