「今日はずっと壬生寺に居たんですか?」
冬の夜の凛とした静寂の中では、いつも通りの話し声もよく通る気がする。
私の問い掛けに一拍置いて、沖田さんは静かに語り始めた。
「……はい。参拝に来る人達を見ながら、昔のことを思い出していたんです。朝早くから稽古をしたことや、近所の子ども達と一緒に鬼事をしたりかくれんぼをしたこと。ああ、近藤さんに誘われて壬生狂言を鑑賞したこともありました。壬生寺は屯所から近間だったので、よく足を運んでいたんです」
過ぎ去った日を追憶しているのだろう。
飴色の双眸は星々を捉えながらも、ここより遥か遠くに向けられている。