「それじゃあ、帰りましょうか。折角結月さんが作ってくれた夕餉が冷めちゃいますね」
「本当ですよ。まあ今日はカレーにしたので、温め直せば美味しく食べられますよ」
「かれー?初めて聞きますけど……西洋の食べ物、でしょうか」
「えっと、カレーはインド発祥の食べ物ですね。江戸時代にはまだ普及されていなかったと思います」
「へえ。それは楽しみですね」
他愛ない話をしながら、隣り合って帰路を辿る。
ついさっきまでは必死に沖田さんを探していたから空を見上げる余裕なんてなかったけれど、何気なく上を見れば星々が静かに瞬いているのが視界一杯に広がった。
私の視線の先に気付いたのであろう沖田さんも、同じように視線を上空へと向ける。
「……壬生寺でもずっと空を見上げていたはずなのに……不思議ですね。今の方がずっと、綺麗に見えます」
ちらり、隣へと視線を移せば、沖田さんは静かに微笑みながら夜空を見上げている。