「……何で、全部一人で決めちゃうんですか」

ぽろり、言葉が零れる。

「っ、ありがとうございましたって……、それってつまり、沖田さんとはこれでお別れってことですか?」

滲む視界の中沖田さんの顔を見遣れば、一瞬目を見開いた彼は直ぐに柔らかい笑みを浮かべて静かに頷く。

「……はい、さよならです」

沖田さんの優しい笑顔に、涙が頬を伝い流れるのを感じる。


――自分でも、なんで泣いているのか分からない。
何でこんなに必死になっているのか分からない。
沖田さんとは出会ったばかりで、彼のことなんてまだよく知らない。

“新選組の沖田総司”

結局のところ、私が知っているのは彼のそんな肩書きだけだ。


でも、彼と出会って、話して、もっと彼のことが知りたいと思った。
優しい笑顔に安心感を覚えた。

一緒に居たいと思う理由なんて、それだけで十分じゃないだろうか。


――彼とこのままさよならするのは嫌だって、私の心が叫んでる。