壬生寺に背を向けて歩き出す。
人気のない夜道に今更になって少し怖気づきながら、来た時よりも気持ち足早に帰路を辿る。

――でも、最後にもう一度だけ。
夜道に独りということに恐怖心はあるけれど、それでもやっぱり沖田さんがいるのではという期待の気持ちも捨てきれなくて、足を止めて壬生寺の方へと視線を送る。



「……どうしてここまで来たんですか」


――私が振り向くよりも早く、耳に届いた声。
鼓膜を揺らした響きは、私が探し求めていた人のもので。


振り返れば、そこには。

今朝別れた時と変わらぬ姿の沖田さんが、無表情で立っていた。